物事の輪郭線は
いつもゆらいでいる。
そう思っているからなのか
輪郭線を一発で決めるという事に
ためらいがあって
線を引く側から遅れをとっているような気がしてしまう。
そんな思いで描く私の絵は
輪郭線とは言えない
線や点がいくつも重なり
ぼわ〜んとかすんでいるような
状態になっている。
だからなのか
見事に断定された線を持つ作品に
強烈に憧れる。
数々の水墨画や
書や水彩。
フォンタナの作品の
キャンバスの切り口。
選び抜かれたその瞬間
その線を引くという決断の向こうに
神様の微笑む美の世界が
待っていたのだろうと感じる。
ところが私の絵は
何度も描いて消されて
消されて描いて
やっぱり消されて
なお残るという線で
出来あがる事が多い。
そんな私の手の動きの向こうに
神様が微笑んでくれる時は
来るのだろうか?
来る、と私は思っている。
神様は私にも微笑むだろう。
夢中で何度もくり返す私の
「その一手」の1つ1つが
誠実なものであれば。
私が小さな油断も許さず
たどり着きたい作品の姿を
本気で信じれば。
ゆらぎの中にある確かな輪郭線に
たどり着ける時が来るはずだと
そう思っている。
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