名作アニメ
「アルプスの少女ハイジ」といえばブランコである。
あのオープニング!
空から吊るされたブランコに乗って思いっきりアルプスの風を受けて笑うハイジ。
あの風を受けてみたいと思わない子供がいるだろうか?
オープニングの度に私の心は
ハイジと一緒に
ブランコの風を受ける。
雲の上に飛ぶ。
そんな子供は当然公園に行けば、
他の遊具には目もくれず
ブランコに向かって一直線だ。
しかしあまりにも
ブランコが好きすぎて
ハイジになりきりすぎて
私は失敗した。
幼稚園に入った早々
私は何人かの子に猛烈に嫌われてしまったのだ。
嫌われたのは
ブランコのせいである。
私は幼稚園にブランコがあるのを見つけて狂喜した。
(この幼稚園でもハイジになれる!)と。
ブランコにさえ乗れれば私はもうハイジ。
ハイジになりきって、風を受け、
心はもうアルムの山である。
私はブランコに乗ってうっとりと
いつまでもいつまでいつまでも漕ぎ続けた。
頭の中ではハイジのオープニングが流れている。
いつまでもいつまでもいつまでも漕ぐ。
ブランコの傍に何人かが並んで
「いーち、にーい、さーん」
と私を見ながら数を数えている。
(なんだろう?)
ちらりと気になったけれど
心はもうハイジでいる事しか考えていない私だ。
それどころか
ギャラリーがいる事で
ますます張り切ってブランコを漕ぎ続けた。
いつまでもいつまでもいつまでも。
そして私がブランコに乗る度に
怖い顔で私を睨む子が増えていったのだ。
ブランコには約束事があったらしい。
乗りたい子が他にもいる時は、
10回乗ったら交代する決まりだったのだ。
3年保育の幼稚園に、私は途中から入ったので
最後の1年間のみの入園だった。
だから他の子が2年間守って来た
約束事を知らなかったのだ。
それを知ったのは卒園間際である。
オープニングの歌詞ではないが
誰か早く!
「お、し、え、てー♪」と思った。
何も知らない私が脳内でハイジになりきっている間に、
次々と友達に嫌われてしまったのだ。
自分に夢中になってまわりの事に気がつかない。
人の気持ちに気がつかない。
ぼ〜っとして気がつかない。
うっとりブランコを漕いでいるうちに
あれもこれも見落としている。
あれ?これは、今もそうなのか?
思い返してみれば
物事を俯瞰して見ることが出来ず、
自分に夢中でぼんやりしていて
ある日突然、「あれ?そうだったの?」と気がついて
びっくりする、という事を繰り返して生きて来た気がする。
幼稚園から変わっていないのか。
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