少しの間、
娘にサバをよんでいた。
つまり自分の歳を誤魔化していた。
私は娘のお母さん
ではあるのだが...。
でもでも、
なんかどうしても、1番近くにいる仲間になりたかったから。
「大人」と「子供」に分けられてしまうと、
「子供はだまってて」とか
「大人にはわかんないよ」とか
何かさみしい言葉の中に入ってしまうようで怖かった。
身も心も娘の側にいたい!
そう思っていた。
だからある日、小さな娘に
「おかあさんっていくつ?」
と聞かれた時は(うっ)と思った。
(来たか...)
ここで本当の歳を伝えたら、
娘は(お母さんって、私より
いっぱい歳をとった大人なんだ)って思ってしまう。
「仲間」じゃなくて
「大人」だって思うかも。
なんかやだなぁ。
だって私ちっとも大人じゃないし。
咄嗟に答えていた。
「おかあさんはね、6歳よ!」
「へぇ、私より年上かぁ〜」
同じ歳だとさすがに胡散臭いので
娘より2歳年上にした。
その後も私はお母さん、かつ
ちょっと年上の仲間として、
娘とケンカしたり仲直りして暮らした。
一緒に1つずつ年をとりながら。
しかし、とうとう終わりの時が来た。
小学校に入学した娘は、
近所の子と下校中に母親の歳の話になったらしい。
すぐそこまで帰って来ている
娘の大声が、家の中の私にまで聞こえた。
「ほんとだもん!」
「お母さん8歳って言ったもん!」
「お母さんうそつかないもん!」
トトロのめいちゃんみたいな
悲痛な声だった。
(これはまずい)
友達の薄笑いの中、
私の名誉を守ろうとしてくれた娘に土下座して謝った。
なぜ、そんな事をしたのかも正直に話した。
寛大にも娘は私を許してくれて、今も引き続き「仲間」として認めてくれている。
本当にありがとう。
うそついてごめん。