かつおさま

 

「石巻の人間は、鰹の話を始めたら止まらない」

と言われているらしい。

 

わかります。わかりますとも。

だって私がそうですから。

 

でもね、きっと

気仙沼の人も、静岡の人も、高知の人も、その他、鰹が水揚げされてる港の人はみんなみんなそうじゃないのかな〜って思う。

 

だって新鮮な鰹にはその力があるから。

魔力があるから。

 

たった今、丸ごとの鰹から造ったばかりですって状態の刺身を口に入れた時、

(ありがとうございます!)

(本当にありがとうございます!)っていう気持ちに満たされて、ひれ伏したくなる。

 

私はこの鰹に出会う為に生まれて来たんだなんて思ってしまう。

 

さて、初鰹とか戻り鰹とか言いますけれど、

わたくしは断然、「血合い」なんですの。

 

え?何の事か分からない?

気持ち悪い?あ、そう。

その血合いこっちにくださいませ。よこせ。早く。

 

あのね、新鮮な鰹の血合いは鰹というお魚の個性がギューっと詰まった味がすると思うの。

もちろん赤黒い血合いなんて論外ですけれど。

新鮮な血合いの色は、綺麗な真っ赤っか...じゃなくて朱色です!

朱色!朱色なの!

絵の具の色で言ったらバーミリオンね。

そんな血合いの鰹があったら迷わず一直線に走り寄って、

本日の肴はそれ一択です。

 

そんな血合いにあるのは行儀のいい身の手ごたえと綺麗な香りだけ。

臭みのある無しを話題にするのも失礼なくらい。

生姜醤油でモリモリ。

味変でほんの少しの胡麻油と塩でうっとり。

 

鰹様から力をいただいてぐっすり眠れば、夏バテなんかもーう!

どっかに行っちゃいますね。

 

眠りに落ちる前に呟きます。

「今年もありがとうございます。」

「大好きです。鰹様。」

#石巻#鰹#初鰹#石巻新漁港